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心の時代~2026年6月号~

塾長ブログ

心の時代                                

 
 お父様が志学ゼミ出身の娘さんとお母さまが来塾されました。芳賀講師の面談の後、お母様とお話をさせていただきました。ご主人が小石川でイタリアンレストランを開業されていることを知りました。
「随分前ですから自分のことを覚えているかどうかわからない」と奥様にお話をされていたようですが、私は覚えています。教えた生徒は覚えているものなのです。もっとも女性は顔が変わりますので顔を見てもわからない場合もありますが。
相沢講師と同級生でした。早速、相沢講師とお店にお伺いさせていただきました。茗荷谷駅から徒歩八分と書かれてありましたが、自転車で小石川植物園を越えてすぐのところでした。となりに花屋さんがありましたので、遅ればせながら開業祝の花を購入しました。
 二人とも顔を見るなり「力哉」「優介」に戻りました。それが実に自然でした。ほんの数日前に会ったかのようでしたが、四半世紀が経っていたのです。それぞれの道を歩みながらもお互いにどこかで認め合っているからこそ、名前ですんなり呼び合えるのです。二人は滝四小、新町中、小石川高校(中高一貫になる前)出身でした。当時、毎年のように小石川高校へ進学する生徒が多い塾だったなあと感慨深いものがありました。
 「先生、俺、大学に行かないで先生の期待に応えられませんでした。当時の小石川卒業生で大学に行かなかったのは二人だけでした」と彼が言いました。「大学に行ったからといってお店のオーナーシェフにはなれるとは限らない」と答えました。自分のやりたいことを見つけて研鑽したからこそ今があるのです。聞けば様々な国内のレストランばかりでなく、海外でも修業をしてきたとのことでした。自分の味、スタイルを持ち、自信をもって提供できるものを持っているからこそ店を出せるのだと思いました。
 コロナで出店を見合わせながら、物件もなかなか見つからなかったとか。法人ではなく、個人の初店舗ではなかなか大変だったようです。うまくいく方は周りの方に対して感謝があります。「おかげさまで」「ありがとうございます」という言葉が彼の口から当たり前のように何度も出ていました。今は一人で無理せず、やれる範囲でやることをモットーにしているとか。実に自然体でいいなあと感じました。
 お客さんも多く、リーズナブルな価格で、評判もいいようでした。オーナーシェフとして一人で切り盛りされているご主人の様子が実に楽しそうでした。前菜には野菜、パスタ、アイスコーヒーまでついて千七百円とリーズナブルというより安くておいしいなと思いました。早速、家内に連絡を取り、伺う日程を決めました。
お客さんの表情も笑顔が多く、お店の順調さを物語っているようでした。調理場に近い席でお話を聴きながら、懐かしさとともに、うれしさがこみ上げてきました。「楽しそうでいいね」と話すと「自分はこれしかできませんから」という言葉が返ってきました。「私もそうだよ、塾屋として塾しか出来ないからね」と答えました。
自分がうまくいっているときはもちろん嬉しいのですが、それ以上に塾生がうまく行った話を聞いたり、見たりする、その嬉しさは格別です。
「先生、まだ熱い授業をされているのですか?」という彼の言葉に「そうだ、まだまだ」という気持ちになってきました。「十年後に会いたくなる人間でいてくれ」といつも卒塾生に贈る言葉として伝えますが、開店祝いに訪れたものの、逆にエールをいただいた気がしました。
笑顔で見送ってくれた姿に嬉しさがこみ上げて、自然に笑顔になりました。ありがとう。             
2026年 7月 塾長

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