今回は、三十数年ぶりに志学ゼミの門を叩きました。アポなし、夜分遅くの訪問にもかかわらず扉の向こうには「どうした久しぶりじゃないか」と笑顔で迎え入れてくれる変わらない阿部先生がおられました。
思い起こせば三十数年前、親のすすめで志学ゼミに通い始め、同級生たちと和気あいあいと授業を受け、将来のことも考えずに一日一日を楽しく過ごす生徒。そんな私にも高校受験という通らなければならない関門がやってきました。
阿部先生から「小池、お前はどこの学校に行きたいんだ?」と問われましたが、当時、一日一日を楽しく過ごしてきた子供には即答できない質問でした。親からは、頭で選べる学校はないだろうから、幼少のころから習っていた剣道を活かせる学校に行きなさい!と言われ、せっかく志学ゼミに通っていたのにもかかわらず、体力を第一志望にすることに…。そのことを阿部先生に報告すると、まさかの「素晴らしいじゃないか!」との返答。先生から「よし、今日からは必ず言われた課題を受験前日までやるんだぞ!」と言われ、言われた課題をやった結果、無事に剣道の強豪校に合格することができました。
高校生活でも一日一日を楽しく過ごした私に、今度は大学受験という関門が現れました。当時、剣道は続けていたものの良い結果を出せず、剣道で推薦を得られるほどの選手ではありませんでした。そんな折、頭に浮かんだのは「志学ゼミ」。高校3年の夏休み前、再び志学ゼミの門を叩き「阿部先生、大学に行きたいんですが!」と相談しました。先生からは「どこの大学に行きたいんだ?」と数年前と同じ質問。やはり明確な考えを持っていなかった私に、阿部先生は小学生の夏期講習から一緒に授業を受けるのであれば面倒を見ると言ってくださいました。私自身、漠然と大学に行きたいという思いしかなかったため、先生の言われたことをこなすことしかできませんでしたが、結果は無事合格することができました。
大学卒業後はメーカーに勤務し、今日に至っております。会社では海外事業を担当しており、一年の大半を海外で過ごす生活を送っています。そんな生活をしていると、なぜあの時、先生に言われた英文法や英熟語をしっかり勉強しなかったのかと今になって反省をしております。ただ、当時を振り返ってみると、志学ゼミでは勉強以外のことも多く学んだ気がしています。自分の事だけではなく、悩んでいる仲間へ手を差し伸べる、人への思いやり、人が嫌がることを率先して行う等々…。勉強以外で教えて頂けたことが、文化・慣習の違う海外で仕事を行う上で非常に役立っていることを肌で感じ、海外でも一日一日楽しく仕事をすることができています。
こんな私も今や二児の父親となりました。今回、志学ゼミの門を叩いたのは子供の教育相談でした。私には学校以外で勉強を教えてくれる場所は志学ゼミしか知らなかったため、アポも取らずに訪問しました。学生のころと変わらない私を快く迎え入れてくれる場所、それが志学ゼミです。今後は、私もOBとして後輩の皆さんのお役にたてる人間でありたいと考えております。
最後に後輩の皆さんへ。勉強も、掃除も、人助けも、やらされているのではなく、笑顔で楽しみながらやってみてください。きっと素晴らしいものが得られると思います。